ダイエット 2022.02.09
【解説】腸内環境を整える食物繊維
食物繊維は、小腸で消化、吸収されずに大腸まで達し、便として排泄される食品成分です。
食物繊維ときくと、便秘の予防だったり、腸にいいイメージがあると思いますが、
そのような整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、
血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっています。
しかしながら、多くの日本人が、この食物繊維が不足していると言われています。
この記事では、食物繊維の具体的な働きや、摂取方法について解説していきます。
食物繊維とは?
食物繊維とは、「ヒトの消化酵素で分解されない食物中の総体」で、
普段の食事から摂取することができる栄養素のうちの一つです。
植物繊維は主に水に溶ける水溶性食物繊維と、溶けない不溶性食物繊維とに大別されます。
※不溶性食物繊維と水溶性食物繊維についての詳しい解説についてはそれれぞれの記事をご確認ください!
人間の生命活動を維持するために、必要不可欠な5大栄養素に
ビタミン・炭水化物・タンパク質・脂質・無機質があげられますが、
食物繊維はその働きの有効性から、それら5大栄養素に次ぐ「第6の栄養素」として注目されています。
食物繊維を摂るメリット
食物繊維の働きはいくつかあり、腸内環境を整え、便秘を防ぐ整腸作用の他にも、
血糖値上昇の抑制や、血中コレステロール濃度を低下させる働きがあり、
生活習慣病の予防・改善にも効果が期待されます。
- 整腸効果
基本的に5栄養素と呼ばれる栄養素は、消化管内で分解・消化されたのち、小腸から体内に吸収されます。
一方で、食物繊維は体内で消化・吸収されずに大腸まで達するため便として体積を増やしていきます。
それにより、大腸を刺激し、腸の動きを活発化することで排便を促す働きがあります。
また、食物繊維が大腸まで到達すると、大腸に生息する腸内細菌のエサとなり、善玉菌を増加させます。
それにより、腸内環境を良好な状態に保つことができます。
この腸内環境が良好な状態にあると、排便がより促進され、便秘改善になります。
※善玉菌・悪玉菌の解説は下記をご参照ください。
【解説】腸内環境とは?善玉菌・悪玉菌・日和見菌がもたらす変化と要因
- 血糖値上昇の抑制や、血中コレステロール濃度の低下
脂質・糖・ナトリウム・コレステロールなどの吸収を緩やかにしたり、
吸着し排泄物として身体の外に排出することで、これらの物質の吸収を防ぐ働きがあります。
それにより、血糖値上昇の抑制や、血中コレステロール濃度の低下を可能にし、
肥満や脂質異常症(高脂血症)・糖尿病・高血圧等の生活習慣病の予防・改善にも効果が期待されます。
上で述べた通り、血糖値の改善として効果的である食物繊維は、
同じく、血糖値の上昇を防ぐために摂取すべき栄養素である、タンパク質と並び
糖尿病の食事療法としても注目されています。
※タンパク質についての詳細は、こちらのブログ記事をご参照ください。
タンパク質はトレーニングしている人だけが摂るもの?…そんなことはありません!
食物繊維を摂りすぎの影響
ここまで、食物繊維を摂取するメリットについてお話してきましたが、
一方で、食物繊維を摂りすぎると悪影響を及ぼす可能性もあります。
適量な食物繊維を摂ると、腸内環境を整え、便秘の予防になります。
その一方で、水溶性食物繊維を多く摂り過ぎると水分量が過剰になり、
おなかがゆるくなり、下痢や軟便になることもあります。
また、反対に不溶性食物繊維はお腹のはりや便秘を悪化させることがあります。
不溶性食物繊維は、先に述べ通り便の量を増やすことで大腸を刺激し、
その動きを活発にすることで排便を促しますが、
ストレスなどの自律神経の乱れなどで起こる、ころころとした便が特徴の「痙攣性便秘」は
逆に大腸の収縮が強くなることで排便がしにくなり便秘を引き起こします。
そのため、その状況のなか食物繊維の多い食べ物を摂取すると、
痙攣性便秘の原因となる、大腸の収縮(動き)をさらに活性させてしまうために
かえって便秘を悪化させてしまったりと、悪影響を及ぼしてしまいます。
食物繊維の多い食べ物を摂るとお腹が張ったり、
ガスが溜まったりするのは、この影響であると考えられます。
さらには、食物繊維(特に水溶性食物繊維)には、
脂質・糖・ナトリウム・コレステロールなどの吸収を緩やかにするという働きがあるとお伝えしましたが、
摂取しすぎることで、この身体にいいとされる働きがかえって身体に悪影響を生み出す可能性もあります。
それは、ビタミンやミネラルといった必要な栄養素の吸収までも抑えてしまうと言われているからです。
ただ、このような現象が起こるほどの摂取過多は、
タブレットなどで植物繊維を補給している人のみ注意が必要ですが、
普通の食事では起こりうることは限りなくゼロに近いです。
そのため、次で説明します、摂取基準量を普段の食事で意識して摂ることをおすすめします!
食物繊維の基準量は?(厚生労働省参照)
厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準」では、生活習慣病の発症予防を目的として、
現在の日本人が目標とすべき食物繊維の1日の摂取量を次のように定めています。
成人(18〜64歳)男女の一日あたりの「目標量」
- 男性 : 21g以上
- 女性 : 18g以上
1950年頃には一人あたり一日20gを超えていましたが、
食生活の変化や穀類・いも類・豆類の摂取量の減少に伴い、減少傾向にあると言われております。
厚生労働省の最近の報告によれば、現代の成人日本人の食物繊維の平均摂取量は
一日あたり14g前後と推定されており、目標量を下回っております。
この結果からわかる通り、日本人は積極的に食物繊維を意識して摂取していくことが必要と言えます。
食物繊維の摂れるおすすめの食材
では、実際にどんな食材から食物繊維を摂取できるのかご紹介していきます。
食物繊維は、魚介類や肉類などの動物性食品にはほとんど含まれず、
穀物、野菜、きのこ、豆類、海藻類、種実類などの植物性食品に豊富に含まれています。
ここでは、上記の分野ごとにおすすめの食材について触れていきます。
穀類
まず、米類では玄米や麦ごはんに置き換えるのをおすすめします。
一般的に、お茶碗一杯(150g)に白米(炊飯後)に含まれる食物繊維は0.5gに対して、
”玄米”はおよそ4倍の約2.1gあたりの食物繊維が含まれていると言われています。
更に、白米と麦を混ぜて炊く、”麦ご飯”はそれ以上の2.3gの植物繊維を摂取することができます。
(白米1合に対して、もち麦50gを配合した場合)
麦ごはんが食物繊維を多く含んでいる理由として、もち麦の食物繊維の豊富さにあります。
白米と比較すると、その量はおよそ25倍で、現在報告されている植物繊維の含有量としては、
他の食材と比べてもダントツに一番多いと言われています。
食物繊維が多いとされるごぼうと比べても2倍以上も多く含まれています。
玄米や麦米のほかにも、オートミールや全粒小麦パンなども食物繊維を豊富に含んでおり、
手軽に食物繊維を摂取したいと考えている方には、
主食となる穀物を普段の白米やパンをこういった物に置き換えてみることもおすすめです。
野菜・果物
ほとんどの野菜や果物類は食物繊維を含んでいますが、
その中でも多いとされる次の野菜・果物を意識しながらとるのもおすすめです。
特にごぼうやたけのこ、大根、にんじんなどといった根菜類や、
果物では干し柿や、干しいちじくなどドライフルーツには多くの食物繊維が含まれています。
食物繊維を多く含む主な野菜・果物一覧 (100gあたりの量)
- ごぼう : 5.7g (水溶性 : 2.3g / 不溶性 : 3.4g)
- カボチャ : 2.8g (水溶性 : 0.7 g / 不溶性 : 2.1g)
- ブロッコリー : 5.1g (水溶性 : 0.8g / 不溶性 : 4.3g)
- たけのこ : 2.8g (水溶性 : 0.3g / 不溶性 : 2.5g)
- モロヘイヤ : 5.9g (水溶性 : 1.3g / 不溶性 : 4.6g)
- さつまいも : 3.8g (水溶性 : 1.0g / 不溶性 : 2.8g)
- にんじん : 2.7g (水溶性 : 0.7g / 不溶性 : 2.0g)
- キャベツ 1.8 g (水溶性 : 0.4g / 不溶性 : 1.4g)
- 大根 4.0g (水溶性 : 0.8g / 不溶性 :3.2g)
- 切り干し大根 : 20.7g (水溶性 : 3.6g / 不溶性 : 17.1g)
- アボカド : 5.3g (水溶性 : 1.7g / 不溶性 : 3.6g)
- いちご : 1.4g (水溶性 : 0.5g / 不溶性 : 0.9g)
- りんご:1.5g (水溶性 : 0.3g / 不溶性 : 1.2g)
- バナナ: 1.1g (水溶性 : 0.1 g / 不溶性 : 1.0g)
- 干し柿: 14g (水溶性 : 1.3g / 不溶性 : 13.7g)
- 干しいちじく: 10.9g (水溶性 : 3.3g / 不溶性 : 7.6g)
- 干しプルーン : 7.2g (水溶性 : 3.4g / 不溶性 : 3.8g)
きのこ類
きのこ類にも食物繊維が多く含まれているため、上手に取り入れたい食品になります
食物繊維を多く含む主なきのこ類一覧 (100gあたりの量)
- しいたけ : 3.5g (水溶性 : 0.5g / 不溶性 : 3.0g) ※1個(15g)あたり0.5g
- 干ししいたけ : 41g (水溶性 : 3g / 不溶性 : 38g)
- なめこ :3.3g (水溶性 : 1g / 不溶性 : 2.3g)
- 乾燥きくらげ : 57.4g (水溶性 : 0g / 不溶性 : 57.4g)
豆類
豆類にも食物繊維が多く含まれているため、上手に取り入れたい食品になります。
大豆や大豆食品(豆腐や納豆)などの食事はもちろん、
ダイエットにおすすめお菓子として、羊羹などの和菓子を以前のブログでも紹介していますが、
あんこやきなこも食物繊維が豊富なので、間食で摂るのもおすすめです。
食物繊維を多く含む主な豆類一覧 (100gあたりの量)
- インゲン豆(乾) : 19.3g (水溶性 : 3.3g / 不溶性 :16)
- 大豆(乾) : 17.1g (水溶性 : 1.8g / 不溶性 : 15.3g)
- ひきわり納豆 : 5.9g (水溶性 : 2g / 不溶性 : 3.9g) ※1パックあたり(50g) 3g
- 豆腐 :0.4g (水溶性 : 0.1g / 不溶性 : 0.3g) ※1丁(200-300g)あたり0.8-1.2g
- きなこ : 16.9g (水溶性 : 1.9g / 不溶性 : 15g)
- こし餡 : 6.8g (水溶性 : 0.3g / 不溶性 : 6.5g)
海藻類
海藻類には多くの食物繊維が含まれているイメージがあると思いますが、
実際に、ひじきや海苔、わかめや昆布には多くの食物繊維が含まれているため、
小鉢にひじきを追加したり、お味噌汁の具に海藻を入れたりすることで食物繊維を摂取することができます。
食物繊維を多く含む主な海藻類一覧 (100gあたりの量)
- ひじき(乾) : 43.3g
- 焼き海苔 : 36g
- わかめ(乾) : 32.7g
- こんぶ(乾) :27.1g
種実類
秋の味覚である茹でぐりには、100gあたり6.6g、
銀杏はの1.8gの食物繊維が含まれていたり、種実類も食物繊維を多く含んでいます。
特に料理のトッピングなどに取り入れやすい、胡麻にも100gあたり12.6g、
大さじ一杯あたりの量に換算すると1.3gの食物繊維が含まれているため
料理に簡単に食物繊維をプラスできるおすすめの食材となります。
まとめ
食物繊維は現在、平均値から見たら多くの日本人が4gほど不足気味です。
効率的に食物繊維をとるには、これらの食材を毎日の食事の中に上手に取り入れつつ
まずは一日あたりプラス3~4gを目標に、積極的に摂取していきましょう!
また、食物繊維の特徴でもある血糖値とダイエットとの相関に関しても下記で記載がございます。
ご興味のある方は、合わせてご覧くださいませ。
血糖値とダイエットって関係あるの?血糖値がダイエットに与える影響を解説!
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