「姿勢」と一口に言っても、その種類や状態はさまざまです。
円背、猫背、スウェイバックなど、体の形や状態を指して姿勢と呼びます。
しかし、そもそも「理想的な姿勢」というものは本当に存在するのでしょうか？

今回はその疑問を掘り下げつつ、姿勢改善の方法やアプローチについて考えていきたいと思います。

猫背改善の一般的なアプローチ〜台東区浅草パーソナルジムN-fitness〜

パーソナルトレーニングでは、猫背などの姿勢不良について「筋肉の短縮位と伸長位」
という観点で問題点を捉えることが多いです。
たとえば、猫背の場合は大胸筋や小胸筋が短縮しており、

これらをリリースやストレッチで緩めることが推奨されます。

一方で、背中側の筋肉（僧帽筋や菱形筋）は伸長しっぱなしで機能していないことが多いので、これを鍛える指導が行われます。
こうしたアプローチは確かに効果があります。

ストレッチや筋力トレーニングによって姿勢が改善されるクライアントは少なくありません。
しかし、こうした方法の効果が「立位」などの静止時にしか適用されず、歩行や運動時に反映されないこともあります。
また、リリースやトレーニングの効果が持続せず、次のセッションまでに姿勢不良が戻ってしまうケースも少なくありません。

では、こうした姿勢不良の根本原因は何なのか？
それを考えるために、まずは「教科書的な理想の姿勢」について知ることから始めましょう。

理想的な姿勢とは？〜台東区浅草パーソナルジムN-fitness〜

【脊柱の湾曲と重心の位置】

理想的な姿勢とは、脊柱の自然な湾曲が保たれている状態を指します。
具体的には次のようなカーブです。

頸椎：30～35°の前弯
胸椎：約40°の後弯
腰椎：約40°の前弯

これくらいの生理的湾曲が維持されていると、脊柱は美しい「S字カーブ」を描けていることになります。
また、重心位置も重要です。

女性：第3仙椎付近
男性：第2仙椎付近

さらに矢状面から見た場合、耳穴から肩峰、大転子、膝蓋骨の後方、外くるぶしの前方が一直線に並ぶことが理想とされます。
これがピラティスやフィットネスでよく言われる「整った姿勢」の基準です。

【左右差や正中線の評価】

前額面では左右の耳穴、肩甲骨、大転子、膝蓋骨、外くるぶしが水平であることが整った姿勢の目安とされます。
また、後頭隆起から脊柱の棘突起、骨盤、膝、内くるぶしが正中線上に揃うことも重要です。

【理想的な姿勢が「絶対」ではない理由】

ここまで紹介したのは、あくまで静止時の理想的な姿勢にすぎません。
これらは一般的な基準であり、実際には以下のような要素が影響を及ぼします。

個人差：骨格や筋肉の形状には個人差があり、すべての人が同じ姿勢になるわけではありません。
生活習慣：デスクワークや立ち仕事、スポーツの種類など、日々の活動が姿勢に影響を与えます。
運動時の変化：歩く、走る、階段を登るなど、動きの中で姿勢は変化します。

たとえば、学生時代に運動能力が高かった同級生や先輩は同じような骨格や姿勢や走り方をしていたでしょうか？
きっと、それぞれの個性があったはずです。
それにも関わらず、高いパフォーマンスを発揮しているのは彼らが自分に合った動きや体の使い方をしていたからです。

歪み＝悪ではない〜台東区浅草パーソナルジムN-fitness〜

私たちの体には必ず左右差があります。たとえば、左右の骨盤の形が異なる人も多いですし、
正中線が完全にまっすぐな人はほとんどいません。こうした「歪み」が必ずしも悪いとは限りません。

重要なのは、その歪みが本人の動きや生活に悪影響を及ぼしているかどうかを判断することです。
たとえば、肩こりや腰痛などの原因が姿勢にある場合、その歪みを改善するアプローチが必要です。
一方で、痛みや不調がない場合、無理に「理想の姿勢」に合わせる必要はありません。

理想的な姿勢についてのまとめ〜台東区浅草パーソナルジムN-fitness〜

理想の姿勢とは、その人自身に合ったものであり、理想的な姿勢はあってないようなものです。
教科書的な姿勢にとらわれるのではなく、クライアント自身の特徴や生活スタイルを理解し、
その人に合った姿勢を見つけることが大切です。

姿勢改善に取り組む際は、「歪み＝悪」と決めつけるのではなく、
その歪みが本当に問題を引き起こしているかどうかを見極めましょう。
大切なのは、日常生活や運動時に快適に動けること。そのための「正しい姿勢」は人それぞれなのです。